- IIBCホーム
- TOEIC Program 団体受験のご案内
- 活用事例
- 高等学校
- 埼玉県立南稜高等学校
生徒の英語力を可視化し、成長を自信につなげる。経年データは進路指導にも活用
埼玉県立南稜高等学校
WEBサイト
~10年以上の経年データを活用した進路指導と
潜在能力の発掘~
特色ある国際理解教育と体験重視のカリキュラム
本校は普通科と外国語科を併設し、長年にわたり外国語教育に力を注いできました。特に1学年定員40名の外国語科では、英語に加え、フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語・韓国語の5言語から第二外国語を選択できるなど、埼玉県内でも類を見ないカリキュラムを展開しています。
学校全体では国際理解教育に積極的に取り組んでいます。1年次の「総合的な探究の時間」には“世界へのトビラ”という事業で県内在住の外国人講師から異文化を直接学びます。また、2・3年次の希望者を対象としたオーストラリア研修では、現地の高校・大学訪問に加え、グリーン島やキュランダ村での環境保全活動に参加するなど、SDGsの視点を取り入れた実践的な学習を行っています。
こうした体験重視の教育は、生徒の発信力を高めています。その成果が発揮される場として、3年間の集大成である「校内スピーチコンテスト」があります。そこでは、外国語科の生徒が、いじめなどの身近な社会課題や文化考察など、多彩なテーマで意見を発表します。2024年度には獨協大学主催の「ドイツ語スピーチコンテスト」で全国2位に入賞するなど、その成果は対外的にも評価されています。
このように「使える語学力」を重視する本校において、生徒の英語力を客観的に測る指標として長年活用しているのがTOEIC® Programです。
県の事業終了を機に、学校主体で継続
本校におけるTOEIC Programの導入は、10年以上前に埼玉県教育委員会の方針として始まりました。当時は県の事業として、県内の外国語科の3年生全員がTOEIC® Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)を受験する体制が敷かれていました。そこで本校では、3年次での受験に向けた準備段階として、導入当初から1・2年次にはTOEIC Bridge® Listening & Reading Tests(以下、TOEIC Bridge L&R)を独自に実施してきました。
転機は2024年度、県の事業終了です。3年生への受験料補助がなくなり、多くの学校が実施中断を余儀なくされる中、本校でも「費用をかけてまで継続すべきか」「大学入試への汎用性を考えると、ほかの外部試験の方がよいのではないか」という議論が巻き起こりました。
しかし、本校は継続を選びました。そして、「生徒たちが自身の成長を確認するツール」として、TOEIC Programを使うことを教員間で再確認しました。それぞれの生徒が入学直後のスコアをベースに2年次、3年次の英語力の伸びを数値として認識できるようにしたのです。
もちろん、10年以上にわたり蓄積してきた経年データがあり、その定点観測を進路指導に活用していくことも継続理由のひとつです。本校には、卒業生たちが「いつ」「どのくらいのスコアを取り」「どの大学に合格したか」というデータがあります。「TOEIC L&Rでこのスコアなら、上智大学外国語学部や津田塾大学国際関係学部などへは合格圏内」といった独自の相関目安は、進路指導において説得力のある材料です。こうした先輩たちの実績という裏付けがあることで、生徒の中にあった漠然とした憧れは、具体的な目標へと変わります。
保護者に対しても、入学時の説明会などで「英語力の伸びを測るために実施する」「適切な進路指導につなげる」という意義を丁寧に説明し、理解を得ています。こうして本校は、予算を捻出してでもTOEIC Programの実施を継続するという決断に至りました。
生徒のレベル向上に合わせてTOEIC L&Rへ移行
現在、本校では外国語科の全学年(各40名)を対象に、毎年6月にTOEIC L&Rの団体特別受験制度(IP:Institutional Program、以下IPテスト)を実施しています。この時期は三者面談期間にあたります。
試験当日は、リスニング(45分)に続いてリーディング(75分)に取り組むため、高い集中力が求められます。午前中にテストを行い、午後は放課となるこの時期に実施することで、生徒は心身ともに余裕をもってテストに臨むことができます。
テストの種類は、生徒の英語力向上に合わせて柔軟に見直しています。先述した通り、1・2年次にTOEIC Bridge L&R、3年次にTOEIC L&Rを実施していました。しかし近年、入学者の英語力が上がり、指導の成果も相まって、2年生の段階でTOEIC Bridge L&Rの高得点層、具体的には70点以上をとる生徒が増加してきました。
測定範囲の上限に達する生徒が増えたことを受け、2024年度以降は2年次から、より幅広いスコアを測ることができるTOEIC L&Rへ移行しました。現在は1年次でTOEIC Bridge L&Rを用いて基礎力を確認し、2・3年次でTOEIC L&Rに挑戦するという体制をとっています。これにより、生徒たちは「1年間でスコアがどう伸びたか」を同じ物差しで測り、より高い目標を持って学習に臨めるようになりました。
先に説明した学校主体での継続の議論の際には、学内の一部からは「受験させっぱなしになってしまうのではないか」という懸念の声もありました。しかし、テスト実施後にはIIBCの担当者を招き、生徒へ向けたフィードバック説明会を行い、スコアの意味や社会での活用事例を学ぶことで、次への学習意欲につなげています。こうした丁寧な事後フォローや具体的な指導成果を示すことで、現在は英語科だけでなく他教科の先生方の理解も得られており、今後もこの体制を継続していきたいと考えています。
生徒の潜在的な能力の発掘と、データに基づく進路指導
TOEIC Programを継続して最も効果を感じているのは、「生徒の潜在的な能力の発掘」ができる点です。
普段の定期考査や模試は、どうしても文法や読解の比重が高くなりがちで、リスニングだけを評価することはあまりありません。
ところが、TOEIC Programを実施してみると、授業では目立たない生徒がリスニングセクションで驚くほどの高スコアを出すケースが多々あります。いわゆる「耳が良い」生徒たちです。彼らは英語のリズムやイントネーションを感覚的に捉える能力に長けています。外部試験によってその才能が可視化されることで、生徒自身が「自分は英語ができるんだ」という大きな自信を得ます。自己肯定感が高まると、課題であった文法学習にも意欲的に取り組むようになり、結果として英語力全体が底上げされる好循環が生まれています。
また、蓄積されたデータは具体的な進路指導にも活かされます。漠然と励ますのではなく、「先輩は2年生の時にこのスコアで、〇〇大学に進学し、現在は海外の大学に留学しているよ」と、具体的な進路と結びつけたアドバイスが可能になります。
さらに、校内ではトップ層のスコアが900点を超えることもあり、それが他の生徒への良い刺激となっています。「あの子に負けたくない」「次は500点を超えたい」といった健全なライバル意識が芽生え、クラス全体で切磋琢磨する雰囲気が醸成されています。
大学入学前の空白期間を学びに変える
もう一つの成果は、進路決定後の学習意欲維持です。近年、総合型選抜や学校推薦型選抜により、年内に進路が決まる生徒が増えています。合格が決まると、安心感からか学習の手が止まり、4月の入学までに学力が低下してしまう、いわゆる空白期間が課題でした。
そこで本校では、在学中に受験したTOEIC Programの経験を、大学入学直後のプレイスメントテストへの対策意識につなげています。多くの大学では入学直後にTOEIC Programなどを利用したクラス分けが行われます。すでに試験形式や難易度を知っている生徒に対し、「合格して終わりではない。入学式直後にあるクラス分けテストでスタートダッシュを決めるために、勉強を続けよう」と指導することで、合格後も目標を見失わずに学習を継続できています。
実際に、難関私立大学に進学した卒業生からは、「高校時代にTOEIC L&Rを受けていたおかげで、大学の英語学習にスムーズに入れた」という声が届いています。「TOEICは大学受験に関係ない」ではなく、高校在学中のスコアが、大学、そして社会へと続くパスポートとしての役割を果たしているのです。
「英語を学びたい」という意欲を伸ばすために
本校の外国語科が求めているのは、完成された英語力を持つ生徒だけではありません。「英語を学びたい」「将来海外で活躍したい」という意欲を持った生徒です。高校入試の調査書においてTOEIC Bridge L&Rなどのスコアを加点対象としているのも、結果だけでなく、そこに至る努力のプロセスや挑戦する姿勢を評価したいと考えているからです。
県の方針から始まった取り組みは、10年以上の時を経て、本校ならではの定点観測のツールとして定着しました。合格・不合格として結果が出るほかの外部試験とは異なり、スコアという連続性のある指標だからこそ見える細やかな成長があります。地道な努力を積み重ねている生徒のスコアが100点、200点とアップしているのをみると本当にうれしい限りです。
今後もこの定点観測を継続し、データを活用しながら、生徒一人ひとりの可能性を世界へと広げていきたいと考えています。
(2026年1月取材)
(テスト名称を含め掲載情報は取材当時のものです)